京都嵯峨野を歩いていると、「博物館さがの人形の家」の茅葺き門の道路斜向かい辺りに、うっかりすると見過ごしてしまいそうになる、小さな祠がある。石の鳥居にはその名前すら無く、石鳥居の奥に重なり立つ二つの朱門にも名前はない。地元の人に尋ね聞いても誰もその名を知らないという。ただ「水神さん」と呼んでいる、ということが分かっただけだった。農耕民族である我が国民にとって水は米の収量を大きく左右することから田の神と結びついて厚く信仰されてきた。稲荷大明神とは同じく農耕神という点で繋がるから、境内にある狐像はそれゆえに祀られているのだろうか。不思議な気が立ち込める境内であった。
京都嵯峨野の水神さん
名も無き小さな稲荷
By Shozo Fujii
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