京都「祇園」その2

花街と茶屋と舞妓芸妓

祇園に限らず花街は大きく分けて「仕出屋」「屋形(置屋)」「茶屋」の3つで構成されている。仕出屋は茶屋へ料理を運ぶ。屋形は舞妓、芸妓が所属・生活しており、茶屋へ派遣を行う。そして茶屋は場所を提供し、酒や料理・人の手配をするのである。茶屋が直接料理を提供することはない。基本的に「茶屋」とは貸しスペースなのである。

花街にある多くの茶屋では「一見さんお断り」の花街独特の伝統的な風習が今もなお残る。誰か既存の客の紹介が無い限り初めての客は茶屋に入ることはできないのだ。ここでいう紹介とは単に「紹介する」だけではない。新参者を茶屋に紹介するということは「紹介する人を保証」することを意味するのである。その理由は花街と客との強い信頼関係にある。花街では当日に代金を支払うことはない。料理台や花代(芸妓や舞妓に対する代金)などはツケ(後日精算)にするという独特の仕組みが根付いているのだ。一旦茶屋の女将が立て替えるというシステムは茶屋と客との信頼関係無しには成立しない。よって身元のはっきりしない一見さんはお断り、ということになるのである。決して客を値踏みして見下しているわけではないのである。

花街の文化は京都で最も華やかで奥が深い。花街は舞妓芸妓が住む世界そのものだ。日本全国のみならず世界中に花街があるが、京都の花街はそれらとはまったく別格だ。舞妓芸妓はいわゆるコンパニオンやかつての娼婦からは程遠い存在である。舞妓芸妓は京舞や唄、和楽器と言った伝統技芸を身につけたアーティストであり、言葉や所作を含めた洗練の日本文化・京文化を体現する「もてなし」の職業なのである。

 祇園には芸・舞妓が90人くらいいる。座敷の標準的な段取りは、お茶屋の座敷を借りて仕出屋から料理を取り、芸・舞妓を2、3人呼んで2時間ぐらいというのが普通である。

芸妓への花代は一名当たりおよそ5万円前後。それに料理代1,2万円が加わる。酒代は別途である。もっともこれもいろいろとオプションが効く。食事抜きの座敷も昨今は可能なのだ。予め食事は外で済ませておき、最初の忙しい座敷がはねた頃の午後9時以降にあえて茶屋の女将に食事なしのお座敷を予約するというものである。ただしそれは自分が茶屋に馴染みになってからの話。お茶屋の玄関をくぐるや女将から「お帰りやす。」と言われるようになってからの世界だ。

 

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